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（新着論文）スマホ活用でうつ病改善を目指すライフスタイル介入の試み
原題: Enhancing group lifestyle intervention for depression with ecological momentary assessment: a pilot randomized controlled trial.
Wong VW, Shi NK, Lee LC, Chan SW, Ng CH, Sarris J, Ho FY / Scientific reports / 2025 / DOI / PubMed
抄訳:
本研究は、スマートフォンを用いた生態学的瞬間評価（EMA）が、6週間のグループ形式で行われる多成分ライフスタイル医学（LM）介入におけるうつ症状の改善にどのように寄与するかを調査しました。香港の成人56名を対象に、EMAをサポートする介入群（LM/S; n=18）、純粋介入群（PLM; n=20）、通常ケア群（CAU; n=18）にランダムに分けました。データはベースライン、介入直後、3ヶ月後に収集されました。LM/S群は19週目にPLM群よりも有意に高い活発な身体活動を示しました。7週目には、PLM群がCAU群に比べてうつ症状の軽減や不眠症状、身体健康関連の生活の質（QoL）、全体的なライフスタイル、栄養、ストレス管理の改善を示しました。一方、LM/S群は環境健康関連のQoLのみ改善しました。19週目には、両介入群がCAU群に比べて大幅な改善を示しました。EMAの遵守率は27.1%と低かったものの、LM/S群はPLM群よりも高い完全介入遵守率を示しました。将来的には、十分なサンプルサイズを持つ試験が必要です。
PICO:
- P（対象）: 中程度以上のうつ症状を持つ香港の成人56名
- I（介入）: スマートフォンを用いたEMAをサポートする多成分ライフスタイル介入
- C（比較）: 純粋な多成分ライフスタイル介入、通常ケア
- O（結果）: うつ症状、不眠症状、生活の質、ライフスタイルの改善
一言: 本研究は、スマートフォンを用いた生態学的瞬間評価（EMA）が、6週間のグループライフスタイル介入におけるうつ症状改善にどのように寄与するかを調査しました。香港の成人56名を対象に、EMAを活用した介入群、純粋介入群、通常ケア群にランダムに分け、介入の効果を比較しました。
エビデンスレベル: 6/10
評価理由: 本研究はランダム化比較試験であり、介入の効果を評価するための適切な方法論を用いていますが、サンプルサイズが小さく、EMAの遵守率が低いため、結果の一般化には注意が必要です。
臨床メモ（活用点・注意点・外的妥当性・日本の臨床との整合）
本研究は、スマートフォンを用いた生態学的瞬間評価（EMA）が、うつ症状の改善に寄与する可能性を示しています。特に、EMAを活用した介入群は、活発な身体活動の増加や栄養、精神的成長の面で追加の利益を得ることができました。しかし、EMAの遵守率が低かったことから、実際の臨床現場での適用には、患者のモチベーションを高める工夫が必要です。また、介入の効果を最大限に引き出すためには、参加者の継続的なフォローアップが重要です。日本の臨床現場においても、グループ形式のライフスタイル介入は有用である可能性があり、スマートフォンを活用した自己モニタリングがその効果を高める手段となるかもしれません。今後は、より大規模な試験を通じて、これらの介入の効果をさらに検証することが求められます。
（FAQ）
Q. この研究で使用されたEMAとは何ですか？
A. EMA（生態学的瞬間評価）は、スマートフォンを用いて日常生活の中でリアルタイムに自己モニタリングを行う手法です。これにより、参加者は自分の行動や感情を記録し、介入の効果を高めることが期待されます。
Q. この研究の結果はどのように解釈すべきですか？
A. 研究結果は、スマートフォンを用いたEMAがライフスタイル介入の効果を高める可能性を示しています。ただし、サンプルサイズが小さく、EMAの遵守率が低かったため、結果の一般化には注意が必要です。
Q. 日本の臨床現場でこの介入はどのように活用できますか？
A. 日本でも、グループ形式のライフスタイル介入はうつ症状改善に有効な手段となる可能性があります。スマートフォンを活用した自己モニタリングを導入することで、介入の効果をさらに高めることが期待されます。
本記事は一般情報であり、個別の診断・治療を置き換えるものではありません。
精神保健指定医 児玉啓輔（監修者プロフィール）
患者さんへのメッセージ
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