最新の研究から、外来の皆さまに役立つ知見を簡潔にご紹介します。

(新着論文)女性のストレス関連障害におけるホルモンの役割

原題: Hormonal mechanisms of women’s risk in the face of traumatic stress.
Stevens JS, Davis M, Hinojosa CA, Hinrichs R, Roeckner AR, Oliver KI, Taylor L, Santos JLC, Zeleke H, Lin E, Dahlgren K, Ely TD, Murphy AR, Johnson C, DelRosario D, Merrill N, Zhang X, Ethun KF, Young M, Braden A, Nugent NR, Powers A, van Rooij SJH, Wallen K, Michopoulos V / Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America / 2025 / DOI / PubMed

抄訳:

女性は生物医学研究において過小評価されており、ストレス関連障害の不均衡な発生率の理解が限られています。男性はより多くのトラウマを経験しますが、女性は心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症する可能性が2倍です。この不均衡が卵巣ホルモンの脅威関連脳活動への影響によるものかを検証しました。110人の若い女性を対象にしたランダム化二重盲検クロスオーバー試験で、外因性エストラジオール(E2)が卵巣周期に合わせて脅威神経回路をどのように調節するかを調べました。E2は腹内側前頭前野の関与を増加させ、初期黄体期において、トラウマ歴の少ない女性では脅威に対する中枢および皮質内側扁桃体の反応性を低下させましたが、PTSDを有する女性ではそうではありませんでした。したがって、E2の変動は脅威に対する神経応答を調節し、これらの変動に対する感受性が女性のストレス関連障害への脆弱性を高める可能性があります。

PICO:

  • P(対象): 110人の若い女性
  • I(介入): 卵巣周期に合わせたタイミングでのエストラジオール(E2)の投与
  • C(比較): プラセボまたはE2非投与
  • O(結果): 脅威に対する脳の神経応答、特に腹内側前頭前野と扁桃体の活動

一言: 女性はストレス関連障害のリスクが高いが、これは卵巣ホルモンの影響による可能性がある。110人の若い女性を対象にしたランダム化二重盲検クロスオーバー試験で、エストラジオールが脳の脅威反応に与える影響を調査した結果、ホルモンの変動が神経応答を調節し、ストレス障害のリスクに寄与する可能性が示唆された。

確かさ(GRADE): 中等度

理由: この研究はランダム化試験であり、結果の信頼性は比較的高いですが、サンプルサイズが限られているため、一般化には注意が必要です。

研究の信頼性(RoB 2(ランダム化試験)): 低い(大きな問題なし)

  • 参加者の割付方法: 低い(大きな問題なし)
  • 予定した介入からのずれ: 低い(大きな問題なし)
  • アウトカムの欠測: 低い(大きな問題なし)
  • 結果の測り方: 低い(大きな問題なし)
  • 報告された結果の選び方: 低い(大きな問題なし)

解説: この研究はランダム化二重盲検試験であり、バイアスのリスクは低いと評価されます。結果は信頼できると考えられますが、サンプルサイズの制限により、さらなる研究が必要です。

臨床メモ(活用点・注意点・外的妥当性・日本の臨床との整合)

この研究は、女性のストレス関連障害のリスクにおけるホルモンの役割を明らかにする重要な知見を提供しています。特に、エストラジオールが脅威に対する脳の神経応答を調節することが示され、これが女性のストレス障害のリスクに寄与する可能性があります。日本の臨床現場では、女性のストレス関連障害の診断や治療において、ホルモンの影響を考慮することが重要です。ただし、この研究は特定の条件下で行われたものであり、すべての女性に当てはまるわけではありません。個々の患者の状況に応じた評価と治療が求められます。また、ホルモン療法の適用には慎重な判断が必要であり、専門医の指導の下で行うことが推奨されます。

(FAQ)

Q. 女性はなぜストレス関連障害を発症しやすいのですか?
A. 女性はホルモンの変動がストレス反応に影響を与えるため、ストレス関連障害を発症しやすいとされています。

Q. エストラジオールはどのようにストレス反応に影響を与えますか?
A. エストラジオールは脳の神経回路に影響を与え、ストレスに対する反応を調節します。一般的な医学的知見では、ホルモンが神経活動に影響を及ぼすことが知られています。


本記事は一般情報であり、個別の診断・治療を置き換えるものではありません。
精神保健指定医 児玉啓輔(監修者プロフィール

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参考リンク・関連資料