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(新着論文)心筋梗塞後の心理的苦痛に関する科学的声明

原題: Post-Myocardial Infarction Psychological Distress: A Scientific Statement From the American Heart Association.

Levine GN, Carney RM, Cohen BE, Dunn SL, Gaffey AE, Kronish IM, Olsson EMG, Huffman JC, American Heart Association Stroke Council; Council on Cardiovascular and Stroke Nursing; Council on Clinical Cardiology; Council on Quality of Care and Outcomes Research; and Council on Lifelong Congenital Heart Disease and Heart Health in the Young / Circulation / 2025 / DOI / PubMed

抄訳:

心血管疾患患者における心理的苦痛の重要性は、疾患の発症や進行に寄与する要因として、またその結果としてますます認識されています。急性心筋梗塞患者は、うつ病、不安、心理的ストレス、またはPTSDのリスクが増加します。これらの心理的苦痛は、心筋梗塞後心理的苦痛と呼ばれ、将来の心疾患イベントのリスク増加と関連しています。生物学的に考えられるメカニズムとしては、身体活動の低下、喫煙(および禁煙の失敗)、過度の飲酒、不適切な食事、肥満、不十分な睡眠、社会的支援の不足、薬物療法の遵守の低下、心臓リハビリテーションへの参加不足が挙げられます。心筋梗塞後の心理的苦痛の治療が心疾患予後を改善するかどうかについてのデータは混在しており、特に不安、ストレス、PTSDを持つ患者におけるさらなる研究が必要です。複数の介入が心理的苦痛を軽減し、心理的健康、感情的な幸福感、生活の質を向上させる可能性があります。医療専門家の目標は、疾患だけでなく、目の前の人全体を治療することです。

PECO:

  • P(対象): 心筋梗塞後の患者
  • E(暴露): 心理的苦痛の治療
  • C(比較): 治療なし
  • O(結果): 心疾患予後の改善

一言: 心筋梗塞後の患者は、うつ病や不安、心理的ストレス、PTSDのリスクが増加します。これらの心理的苦痛は、将来の心疾患リスクを高める可能性があり、治療が心疾患予後を改善するかは未確定ですが、心理的健康の改善は重要です。

エビデンスレベル: 6/10

評価理由: 心筋梗塞後の心理的苦痛が心疾患リスクを高める可能性があることは示されていますが、治療が心疾患予後を改善するかどうかについてのデータはまだ不十分です。さらなる研究が必要です。

臨床メモ(活用点・注意点・外的妥当性・日本の臨床との整合)

心筋梗塞後の患者における心理的苦痛は、将来の心疾患リスクを高める可能性があります。日本の臨床現場でも、心筋梗塞後の患者に対して心理的サポートを提供することが重要です。特に、うつ病や不安、PTSDのリスクが高い患者には、適切な心理的介入が求められます。治療の効果についてはまだ不確定な部分が多いため、個々の患者の状況に応じたアプローチが必要です。心臓リハビリテーションや生活習慣の改善を通じて、心理的健康を向上させることが、患者の生活の質を高めるために重要です。医療従事者は、患者の身体的健康だけでなく、心理的健康にも配慮し、包括的なケアを提供することが求められます。

よくある質問(FAQ)

Q. 心筋梗塞後の心理的苦痛とは何ですか?

A. 心筋梗塞後の心理的苦痛とは、心筋梗塞を経験した患者が感じるうつ病、不安、心理的ストレス、またはPTSDのことを指します。これらの状態は、心疾患のリスクを高める可能性があります。

Q. 心筋梗塞後の心理的苦痛はどのように治療されますか?

A. 心筋梗塞後の心理的苦痛の治療には、心理療法や薬物療法、心臓リハビリテーション、生活習慣の改善などが含まれます。個々の患者に応じたアプローチが重要です。


本記事は一般情報であり、個別の診断・治療を置き換えるものではありません。(監修者プロフィール

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参考リンク・関連資料