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(新着論文)更年期女性の睡眠障害、うつ、不安に対する心身療法の効果
原題: Mind-body therapies for sleep disturbances, depression, and anxiety in menopausal women: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials.
Fan Z, Zhang Y, Shu Y, Zhou Y, Zuo Z / Frontiers in public health / 2025 / DOI / PubMed
抄訳:
更年期はしばしば睡眠障害、うつ、不安を伴い、女性の生活の質に悪影響を及ぼします。ホルモン療法は効果的ですが、安全性の懸念から非薬物療法の必要性が高まっています。心身療法(MBT)は有望な介入法として注目されていますが、その全体的な有効性は不明でした。本研究では、MBTの効果を評価するランダム化比較試験を系統的レビューとメタ解析で分析しました。対象はヨガ、マインドフルネス、気功、アート療法、音楽療法、ダンス療法、レイキで、比較群は通常ケアまたは無介入群でした。1,572人の参加者を含む18の研究が特定され、ランダム効果モデルを用いて解析しました。MBTは睡眠の質を有意に改善し(SMD = -0.86)、うつ(SMD = -0.79)や不安(SMD = -1.13)を軽減しました。特にマインドフルネス、音楽療法、ダンス療法、レイキはヨガや気功よりも大きな心理的利益をもたらしました。12週間以上の介入やアジアの研究では効果が強く、文化的な親和性や遵守の違いが影響している可能性があります。感度分析で結果の頑健性が確認され、出版バイアスは検出されませんでした。MBTは更年期症状の管理において安全で低リスクな戦略を提供し、特に感情調整と心理的健康に価値をもたらします。高品質な試験が臨床ガイドラインの策定に必要です。
PICO:
- P(対象): 更年期および閉経後の女性
- I(介入): ヨガ、マインドフルネス、気功、アート療法、音楽療法、ダンス療法、レイキ
- C(比較): 通常ケアまたは無介入
- O(結果): 睡眠の質、うつ、不安の改善
一言: 更年期女性の睡眠障害、うつ、不安に対する心身療法の効果を評価したメタ解析。心身療法は中程度から大きな効果を示し、安全で低リスクな管理法として有望です。特にマインドフルネス、音楽療法、ダンス療法が心理的利益をもたらします。
確かさ(GRADE): 中等度
理由: この研究は複数のランダム化比較試験を含むため、結果の信頼性は中程度です。ただし、さらなる高品質な試験が必要です。
研究の信頼性(RoB 2(ランダム化試験)): 低い(大きな問題なし)
- 参加者の割付方法: 低い(大きな問題なし)
- 予定した介入からのずれ: 低い(大きな問題なし)
- アウトカムの欠測: 低い(大きな問題なし)
- 結果の測り方: 低い(大きな問題なし)
- 報告された結果の選び方: 低い(大きな問題なし)
解説: この研究はランダム化比較試験を基にしており、バイアスのリスクは低いと評価されています。結果は信頼できると考えられます。
臨床メモ(活用点・注意点・外的妥当性・日本の臨床との整合)
更年期女性における心身療法の効果は、睡眠障害、うつ、不安の改善において中程度から大きな効果を示しています。特にマインドフルネス、音楽療法、ダンス療法は心理的利益をもたらし、感情調整に有用です。ヨガや気功は睡眠改善に安定した効果を示します。これらの療法は安全で低リスクであり、ホルモン療法の代替または補完として考慮されるべきです。ただし、文化的背景や個人の嗜好により効果が異なる可能性があるため、患者のニーズに応じた選択が重要です。日本においても、これらの療法は広く受け入れられており、臨床現場での活用が期待されます。今後の研究でさらに高品質なエビデンスが提供されることが望まれます。
(FAQ)
Q. 更年期の睡眠障害にはどのような治療法がありますか?
A. 更年期の睡眠障害には、睡眠薬による治療やホルモン療法、心身療法、認知行動療法などがあります。ホルモン療法は効果的ですが、副作用のリスクがあるため、心身療法や認知行動療法が補完的に用いられることがあります。日本のガイドラインでは、個々の症状や患者の希望に応じた治療法の選択が推奨されています。
Q. 心身療法は更年期のうつや不安に効果がありますか?
A. 心身療法は更年期のうつや不安に対して効果があるとされています。特にマインドフルネスや音楽療法、ダンス療法は心理的な利益をもたらすことが示されています。これらの療法は安全で副作用が少ないため、ホルモン療法の代替または補完として利用されることがあります。症状が重い場合は、医師と相談の上、適切な治療を受けることが重要です。
本記事は一般情報であり、個別の診断・治療を置き換えるものではありません。
精神保健指定医 児玉啓輔(監修者プロフィール)
患者さんへのメッセージ
不安や悩みを抱えている方は開院後お気軽にご相談ください。当院スタッフが丁寧にサポートいたします。