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(新着論文)米国の高等教育学生における自己報告によるADHD診断の有病率

原題: Prevalence of Self-Reported Diagnoses of Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder (ADHD) among Post-secondary Students in the U.S.: A Narrative Review.
Cha Y, Choi JJ, Aluri J / Current psychiatry reports / 2025 / DOI / PubMed

抄訳:
この研究は、米国の高等教育機関に通う学生における注意欠如・多動症(ADHD)の自己報告による診断の有病率を調査しました。2008年から2023年にかけて発表された15の実証研究を特定し、これらの研究はサンプルや方法において多様性があり、有病率の推定値は3.4%から11.2%と幅広く、全体の推定値は9.1%でした。さらに、Healthy Minds StudyとNational College Health Assessment (NCHA III/IIIb)という2つの多機関による年次調査のデータを補足しました。これらの調査による2024-2025年度の有病率推定値はそれぞれ14%と15%であり、2019-2020年度の4%と8%からの顕著な増加を反映しています。データソースや方法によってADHD診断の有病率は異なりますが、最近の年次調査は有病率の増加を示唆しており、キャンパスクリニックによるADHDサービスの強化が必要かもしれません。

一言: 米国の高等教育学生におけるADHDの自己報告診断の有病率を調査しました。2008年から2023年の15の研究を分析し、有病率は3.4%から11.2%と幅があり、全体の推定値は9.1%でした。また、2024-2025年度の調査では14%から15%と増加が示されました。

確かさ(GRADE): 中等度

理由: 研究の数は多いが、サンプルや方法の多様性があり、結果にばらつきが見られます。年次調査の増加傾向は信頼できるが、さらなる研究が必要です。

臨床メモ(活用点・注意点・外的妥当性・日本の臨床との整合)

この研究は、米国の高等教育機関に通う学生におけるADHDの自己報告診断の有病率を示しています。年次調査によると、最近の有病率は増加しており、キャンパスクリニックでのADHDサービスの強化が求められる可能性があります。日本の臨床現場においても、学生のメンタルヘルスに対する支援体制の強化が重要です。ただし、自己報告による診断にはバイアスが含まれる可能性があるため、臨床診断と併せて評価することが推奨されます。ADHDの診断基準や治療法は国際的に共通する部分が多いため、日本の臨床現場でも参考にできる点が多いですが、文化的背景や教育制度の違いを考慮する必要があります。

(FAQ)

Q. ADHDの診断基準はどのように決まりますか?
A. ADHDの診断基準は、DSM-5やICD-10といった国際的な診断基準に基づいています。これらの基準は、注意欠如、多動性、衝動性の症状が一定期間以上持続し、日常生活に支障をきたす場合に診断されます。診断は医療機関で行われ、自己診断は推奨されません。

Q. ADHDの治療法にはどのようなものがありますか?
A. ADHDの治療法には、薬物療法と行動療法があります。薬物療法では、メチルフェニデートなどの中枢神経刺激薬が用いられます。行動療法では、生活習慣の改善やカウンセリングが行われます。治療は個々の症状に応じて専門医が判断します。


本記事は一般情報であり、個別の診断・治療を置き換えるものではありません。
精神保健指定医 児玉啓輔(監修者プロフィール

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参考リンク・関連資料