（新着論文）緩和ケアにおける介護者の心身療法の効果: 系統的レビュー

2025年11月21日

症状・疾患の解説

最新の研究から、外来の皆さまに役立つ知見を簡潔にご紹介します。

（新着論文）緩和ケアにおける介護者のメンタルヘルスに対する心身療法の影響

原題: The impact of mind-body therapies on the mental health of caregivers in palliative care settings: A systematic review.
Shen J, Xu J, Zheng Z, Wang J, Li L, Luo X, Huang G / Medicine / 2025 / DOI / PubMed

抄訳:
緩和ケアにおける介護者は、感情的および心理的な負担を抱えることが多いですが、そのメンタルヘルスのニーズは十分に対処されていません。心身療法は臨床集団で有望な結果を示していますが、介護者に対する効果は十分に研究されておらず、統合も不十分です。本系統的レビューはPRISMA 2020ガイドラインに従い、PROSPEROに登録されました。PubMed、EMBASE、Web of Science、Cochrane Libraryを包括的に検索し、緩和ケアの介護者に対するMBTを評価するランダム化比較試験（RCT）および準実験研究（QES）を特定しました。データはPICOSフレームワークを用いて抽出され、研究の質はJBIツールで評価され、バイアスのリスクはROB2およびROBINS-Iで評価されました。エビデンスの確実性はGRADEで評価されました。20件の研究が1230人の介護者を対象に含まれ、8種類のMBTが介入として用いられました。構造化され、セラピストが指導する形式は、自己指導やデジタルアプローチよりも強い効果を示しました。全体として、心身療法はうつ病、不安、PTSD、苦痛、生活の質、自己調整に短期的な改善をもたらしました。非公式および在宅ホスピスの介護者が最も恩恵を受け、専門職および配偶者の介護者は反応が変動しました。方法論の異質性と限られた追跡調査がメタ解析と一般化を制約しました。このレビューは、緩和ケアにおける介護者のメンタルヘルスを対象とした心身療法の既存のエビデンスを包括的に統合し、心身療法の治療的可能性を強調し、介入の効果における提供モダリティと介護者の役割を重要な調整因子として特定しました。

PICO:

P（対象）: 緩和ケアに従事する介護者、特に非公式および在宅ホスピスの介護者。
I（介入）: 心身療法（MBT）、特に構造化されセラピストが指導する形式。
C（比較）: 自己指導またはデジタルアプローチの心身療法。
O（結果）: うつ病、不安、PTSD、苦痛、生活の質、自己調整の短期的改善。

一言: 緩和ケアの介護者は感情的・心理的負担を抱えがちですが、そのメンタルヘルスのニーズは十分に対処されていません。本研究は心身療法が介護者のメンタルヘルスに与える影響を系統的にレビューし、短期的な改善効果を示しました。

確かさ（GRADE）: 中等度
理由: 研究の数は多いが、方法論の異質性と限られた追跡調査が結果の一般化を制約しています。短期的な改善効果は確認されていますが、長期的な効果についてはさらなる研究が必要です。

臨床メモ（活用点・注意点・外的妥当性・日本の臨床との整合）

緩和ケアにおける介護者のメンタルヘルス改善に心身療法が有効である可能性が示されました。特に、セラピストが指導する構造化された形式が効果的であることが分かりました。日本の臨床現場でも、介護者の心理的負担を軽減するために心身療法を導入することが考えられます。ただし、方法論の異質性や追跡調査の限界があるため、導入に際しては個々の介護者の状況に応じた適応が必要です。また、長期的な効果についてはさらなる研究が求められます。心身療法の導入は、介護者の生活の質を向上させるだけでなく、介護の質を高める可能性もあります。政策レベルでの支援や制度化が進むことで、より多くの介護者が恩恵を受けられるようになるでしょう。

（FAQ）

Q. 心身療法とは何ですか？
A. 心身療法は、心と体の相互作用を利用して健康を改善する療法です。ヨガ、瞑想、太極拳などが含まれ、ストレス軽減やメンタルヘルスの改善に効果があるとされています。日本では、これらの療法は補完医療として広く受け入れられています。心身療法を始める際は、専門家の指導を受けることが推奨されます。

Q. 緩和ケアにおける介護者のメンタルヘルス支援はどのように行われていますか？
A. 緩和ケアでは、介護者のメンタルヘルス支援が重要視されています。心理カウンセリングやサポートグループ、心身療法などが提供されることがあります。日本の緩和ケアガイドラインでも、介護者の心理的支援の重要性が強調されています。介護者は、必要に応じて医療機関や専門家に相談することが推奨されます。