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(新着論文)音楽療法の脳卒中後うつ病への効果:メタ分析

原題: The efficacy of music therapy for post-stroke depression: A meta-analysis.
Li Y, Peng Y, Ma S / Medicine / 2025 / DOI / PubMed

抄訳:

音楽は中枢神経系を刺激し、鎮静作用や鎮痛作用、否定的な感情の軽減効果を持つ可能性があります。本研究では、脳卒中後うつ病(PSD)患者における音楽療法の効果を系統的に評価しました。Web of Science、PubMed、EMBASE、CNKIなど9つのデータベースを用いて、2024年1月7日までの全ての関連文献を網羅的に検索しました。2人の研究者が独立してPSDに対する音楽療法の介入に関する文献を精査し、RevMan 5.3を用いて質の評価とメタ分析を行いました。合計で37のランダム化比較試験が含まれ、2776人の患者が対象となりました。メタ分析の結果、音楽療法はハミルトンうつ病評価尺度、Zung自己評価うつ病尺度、Zung自己評価不安尺度、バーテル指数、日常生活活動スコア、神経学的欠損スコア、血清5-ヒドロキシトリプタミンレベルの改善において有意な効果を示しました。音楽療法はPSD患者のうつ症状、日常生活能力、神経学的欠損、血清セロトニンレベルの改善において臨床的に有意な効果を示しました。

PICO:

  • P(対象): 脳卒中後うつ病(PSD)患者
  • I(介入): 音楽療法
  • C(比較): 従来のリハビリテーション
  • O(結果): うつ症状、日常生活活動、神経学的欠損、血清セロトニンレベルの改善

一言: 音楽療法は脳卒中後うつ病(PSD)の症状改善に有効であることが示されました。37のランダム化比較試験を分析し、うつ病や不安のスコア、日常生活活動、神経学的欠損、血清セロトニンレベルの改善が確認されました。

エビデンスレベル: 8/10

評価理由: 37のランダム化比較試験を含む大規模なメタ分析であり、結果は統計的に有意です。ただし、個々の試験の質やバイアスの可能性については注意が必要です。

臨床メモ(活用点・注意点・外的妥当性・日本の臨床との整合)

音楽療法は、脳卒中後うつ病(PSD)患者のうつ症状や日常生活活動の改善に有効であることが示されました。特に、ハミルトンうつ病評価尺度やZung自己評価尺度でのスコア改善が確認されており、神経学的欠損や血清セロトニンレベルの改善も見られました。日本の臨床現場でも、音楽療法は補完的な治療法としての可能性がありますが、個々の患者の状態や好みに応じた適用が必要です。また、音楽療法の実施には専門的な知識と技術が求められるため、専門家の指導の下で行うことが望ましいです。外的妥当性については、文化的背景や音楽の種類が異なる場合の効果についても考慮する必要があります。

(FAQ)

Q. 音楽療法はどのように脳卒中後うつ病に効果がありますか?
A. 音楽療法は中枢神経系を刺激し、鎮静作用や鎮痛作用を持ち、否定的な感情を軽減する効果があります。これにより、うつ症状や不安の軽減、日常生活活動の向上が期待されます。

Q. 音楽療法はどのように実施されますか?
A. 音楽療法は、専門の音楽療法士が患者の状態に合わせて音楽を選び、聴取や演奏を通じて治療を行います。個々の患者の好みや反応を考慮しながら、適切なプログラムを提供します。

Q. 音楽療法は他の治療法と併用できますか?
A. はい、音楽療法は他のリハビリテーションや薬物療法と併用することが可能です。補完的な治療法として、全体的な治療効果を高めることが期待されます。


本記事は一般情報であり、個別の診断・治療を置き換えるものではありません。
精神保健指定医 児玉啓輔(監修者プロフィール

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参考リンク・関連資料