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(新着論文)メチルフェニデートのADHD児童・青年への効果と安全性の再評価
原題: Methylphenidate for children and adolescents with attention deficit hyperactivity disorder (ADHD).
Storebø OJ, Storm MRO, Pereira Ribeiro J, Skoog M, Groth C, Callesen HE, Schaug JP, Darling P, Huus CL, Zwi M, Kirubakaran R, Simonsen E, Gluud C / The Cochrane database of systematic reviews / 2025 / DOI / PubMed
抄訳:
注意欠如・多動症(ADHD)は、子供の精神疾患の中で最も一般的に診断され、治療されるものの一つです。メチルフェニデートは、ADHDの治療に最も頻繁に処方される精神刺激薬ですが、その効果と害についてのエビデンスは不確実です。本研究は、2015年に発表された包括的なシステマティックレビューの更新版です。2022年3月までにCENTRAL、MEDLINE、Embaseなどのデータベースを検索し、製薬会社からの公開および未公開データも収集しました。18歳以下のADHDと診断された子供と青年を対象に、メチルフェニデートとプラセボまたは無介入を比較したランダム化臨床試験(RCT)を含めました。主要なアウトカムはADHD症状と重篤な有害事象であり、副次的なアウトカムとして非重篤な有害事象、一般的な行動、生活の質を評価しました。212件の試験(16,302人の参加者)が含まれ、メチルフェニデートはADHD症状の改善を示唆しましたが、非重篤な有害事象のリスクが増加する可能性があります。全体的なエビデンスの確実性は非常に低く、効果の真の大きさは不明です。今後の研究では、ADHDのサブグループにおけるメチルフェニデートの効果をさらに調査する必要があります。
PICO:
- P(対象): 注意欠如・多動症(ADHD)と診断された18歳以下の子供と青年。
- I(介入): メチルフェニデートの投与。
- C(比較): プラセボまたは無介入。
- O(結果): ADHD症状の改善、重篤な有害事象、非重篤な有害事象、一般的な行動、生活の質。
一言: ADHDの治療に広く用いられるメチルフェニデートの効果と安全性について、最新のメタ解析を行いました。結果、ADHD症状の改善が示唆される一方で、非重篤な副作用のリスクが増加する可能性があります。しかし、全体的なエビデンスの確実性は非常に低く、効果の真の大きさは不明です。
確かさ(GRADE): とても低い
理由: この研究のエビデンスの確実性は非常に低いです。これは、試験の多くが高いバイアスリスクを持ち、結果のばらつきが大きいためです。
臨床メモ(活用点・注意点・外的妥当性・日本の臨床との整合)
メチルフェニデートは、ADHDの治療において広く使用されていますが、その効果と安全性については慎重な評価が必要です。本研究では、ADHD症状の改善が示唆される一方で、非重篤な副作用のリスクが増加する可能性が指摘されています。特に、睡眠障害や食欲減退などが報告されています。日本の臨床現場においても、メチルフェニデートの使用は慎重に行うべきであり、患者の個別の状況に応じた適切なモニタリングが求められます。また、エビデンスの確実性が非常に低いため、他の治療法との比較や、患者の年齢や併存疾患に応じた効果の違いについてもさらなる研究が必要です。医療従事者は、最新のガイドラインやエビデンスに基づき、患者とその家族に対して十分な情報提供を行い、治療の選択肢を検討することが重要です。
(FAQ)
Q. メチルフェニデートはADHDの治療に有効ですか?
A. メチルフェニデートはADHDの治療において有効とされています。日本のガイドラインでは、ADHDの症状を軽減するための薬として推奨されています。ただし、効果には個人差があり、医師の指導のもとで使用することが重要です。
Q. メチルフェニデートの副作用にはどのようなものがありますか?
A. メチルフェニデートの副作用には、睡眠障害、食欲減退、頭痛、腹痛などがあります。これらは一般的に軽度ですが、症状が続く場合や重篤な場合は医師に相談することが重要です。
本記事は一般情報であり、個別の診断・治療を置き換えるものではありません。
精神保健指定医 児玉啓輔(監修者プロフィール)
患者さんへのメッセージ
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