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(新着論文)バングラデシュにおける思春期強迫性障害へのERPとSSRI併用療法の効果

原題: Efficacy of Exposure and Response Prevention Therapy in Combination with Selective Serotonin Reuptake Inhibitors for Obsessive-Compulsive Disorder in Adolescents: A Real-Life Experience from Bangladesh.
Ghose TI, Mullick MSI, Algin S, Pali SA, Sharif M, Haque SMA / Mymensingh medical journal : MMJ / 2026 / PubMed

抄訳:
この研究は、思春期の強迫性障害(OCD)患者に対する曝露反応妨害療法(ERP)と選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の併用効果を評価することを目的としました。バングラデシュのダッカにあるバングラデシュ医科大学病院の精神科外来で、2018年5月から2020年9月まで実施され、40名の強迫性障害患者が対象となりました。参加者はランダムにERPとSSRIの併用群(21名)とSSRI単独群(19名)に分けられました。主要な評価指標は、Children Yale-Brown Obsessive Compulsive Scale(CY-BOCS)による強迫性障害症状の重症度の変化、反応率(ベースラインからのOCD重症度の25%以上の減少)、および寛解率(最終CY-BOCSスコアが12以下)でした。ERPとSSRIの併用は、SSRI単独よりも強迫性障害症状の重症度をより大きく減少させました(12週目のCY-BOCSスコアの減少率はそれぞれ43.8%と28.2%、p<0.001)。また、6週目の反応率と12週目の寛解率もERP併用群で高く(反応率85.7% vs. 26.3%、p<0.001、寛解率42.9% vs. 28.6%、p=0.001)、ERPとSSRIの併用はSSRI単独よりも効果的であることが示されました。

PICO:

  • P(対象): バングラデシュの思春期強迫性障害患者、40名、精神科外来で診断
  • I(介入): 曝露反応妨害療法(ERP)と選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の併用
  • C(比較): 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)のみ
  • O(結果): CY-BOCSによる強迫性障害症状の重症度の変化、反応率、寛解率

一言: この研究は、バングラデシュの思春期強迫性障害患者に対する曝露反応妨害療法(ERP)と選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の併用効果を評価しました。ERPとSSRIの併用は、SSRI単独よりも症状の重症度を有意に改善しました。

確かさ(GRADE): 中等度

理由: この研究はランダム化比較試験であり、結果は信頼性がありますが、サンプルサイズが小さいため、結果の一般化には注意が必要です。

研究の信頼性(RoB 2(ランダム化試験)): 低い(大きな問題なし)

  • 参加者の割付方法: 低い(大きな問題なし)
  • 予定した介入からのずれ: 低い(大きな問題なし)
  • アウトカムの欠測: 低い(大きな問題なし)
  • 結果の測り方: 低い(大きな問題なし)
  • 報告された結果の選び方: 低い(大きな問題なし)

解説: この研究はランダム化されており、バイアスのリスクは低いと評価されます。結果は信頼できるものですが、サンプルサイズの小ささが結果の一般化に影響を与える可能性があります。

臨床メモ(活用点・注意点・外的妥当性・日本の臨床との整合)

この研究は、思春期の強迫性障害患者に対する曝露反応妨害療法とSSRIの併用療法が、SSRI単独療法よりも効果的であることを示しています。日本の臨床現場でも、曝露反応妨害療法はOCDの治療において重要な役割を果たしており、SSRIとの併用は症状の改善に寄与する可能性があります。ただし、バングラデシュでの研究であるため、文化的背景や医療環境の違いが結果に影響を与える可能性があることに留意する必要があります。また、サンプルサイズが小さいため、さらなる大規模な研究が必要です。日本の臨床ガイドラインにおいても、曝露反応妨害療法とSSRIの併用は推奨されており、特に重症例や単独療法で効果が不十分な場合に考慮されます。患者の個別の状況に応じて、治療法を選択することが重要です。

(FAQ)

Q. 強迫性障害の治療にはどのような方法がありますか?
A. 強迫性障害の治療には、曝露反応妨害療法(ERP)や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が一般的に用いられます。曝露反応妨害療法は行動療法の一種で、患者が不安を引き起こす状況に曝露されることで、反応を抑制する方法です。SSRIは脳内のセロトニンレベルを調整し、症状を軽減します。治療は個々の症状や重症度に応じて選択され、専門医の指導のもとで行われます。

Q. 曝露反応妨害療法(ERP)はどのように行われますか?
A. 曝露反応妨害療法(ERP)は、患者が不安を引き起こす状況に意図的に曝露され、その後の強迫行動を抑制することで、不安を軽減する治療法です。治療は段階的に進められ、患者が徐々に不安に慣れることを目指します。専門の心理療法士の指導のもとで行われ、患者のペースに合わせて進行します。治療の効果は個人差がありますが、継続的な取り組みが重要です。


本記事は一般情報であり、個別の診断・治療を置き換えるものではありません。
精神保健指定医 児玉啓輔(監修者プロフィール

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参考リンク・関連資料