最新の研究から、外来の皆さまに役立つ知見を簡潔にご紹介します。
(新着論文)気分障害における主観的・客観的認知機能の関連性の系統的レビュー
原題: Systematic Review and Meta-Analysis of the Association Between Subjective and Objective Cognitive Function in Mood Disorders.
Eggleston K, Miskowiak KW, Porter R, Frampton C, Douglas K / Bipolar disorders / 2026 / DOI / PubMed
抄訳:
気分障害における主観的認知機能と客観的認知機能の関連性は、介入の認知機能向上効果を測定する際のアウトカム選択において議論されています。本研究では、この関連性に関する証拠を系統的にレビューし、予測因子や調整因子の分析も行いました。Ovid MEDLINE、EMBASE、PsycINFO、Cochrane Libraryを用いて、気分障害における主観的および客観的認知機能を調査した研究を検索しました(2024年7月まで)。相関分析を用いて主観的および客観的認知機能の関連を調査した研究をメタ解析に含めました。55の研究(59の出版物)が特定され、35の研究がメタ解析に含まれました。持続的注意を除くすべての領域で、主観的認知と客観的認知の間に弱いが統計的に有意な正の相関が見られました。気分状態や気分障害の診断はこれらの相関に影響を与えませんでした。主観的評価の中で客観的認知機能とより高い関連を示すものはありませんでした。残りの20の研究(主観的・客観的相関を調査しなかった)は、単に測定を相関させるのではなく、差異や感度スコアの計算へのシフトを示しました。これは、気分障害における主観的および客観的認知の関連性を調査した初の系統的レビューおよびメタ解析です。我々の結果は、強い関連性がないという一般的なコンセンサスを支持します。これは、客観的認知テストの限られた生態学的妥当性に関連している可能性があり、患者の認知状態を適切に把握するためには、主観的および客観的認知機能の両方の評価が必要であることを強調しています。
一言: 気分障害における主観的認知機能と客観的認知機能の関連性は弱いが統計的に有意であることが示されました。特に持続的注意においては傾向レベルでの関連が見られましたが、気分状態や診断は影響しませんでした。主観的評価と客観的評価の両方を用いることが重要です。
確かさ(GRADE): 中等度
理由: この研究は多くの研究を含んでおり、結果は一貫しているが、相関の強さは弱く、主観的評価の限界が影響している可能性があります。
臨床メモ(活用点・注意点・外的妥当性・日本の臨床との整合)
本研究は、気分障害患者における主観的認知機能と客観的認知機能の関連性を調査した初の系統的レビューおよびメタ解析です。結果は、主観的認知機能と客観的認知機能の間に弱いが統計的に有意な関連性があることを示していますが、持続的注意に関しては傾向レベルでの関連しか見られませんでした。気分状態や診断はこれらの関連に影響を与えないことが示されました。これにより、臨床現場では患者の認知状態を包括的に評価するために、主観的および客観的評価の両方を用いることが重要であることが示唆されます。日本の臨床現場でも、患者の主観的な訴えを軽視せず、客観的なテスト結果と併せて評価することが求められます。特に、主観的評価は患者の生活の質や治療への反応を理解する上で重要な情報を提供する可能性があります。したがって、医療従事者は患者の主観的な認知機能の評価を積極的に取り入れるべきです。
(FAQ)
Q. 気分障害の患者における認知機能の評価はどのように行われるべきですか?
A. 気分障害の患者における認知機能の評価は、主観的評価と客観的評価の両方を組み合わせることが推奨されます。主観的評価は患者自身の認知に関する自己報告を基にし、客観的評価は標準化された認知テストを用いて行います。これにより、患者の認知状態をより包括的に理解することができます。
Q. 主観的認知機能と客観的認知機能の違いは何ですか?
A. 主観的認知機能は、患者自身が感じる認知能力や困難を指し、自己報告に基づきます。一方、客観的認知機能は、標準化されたテストを用いて測定される認知能力です。主観的評価は患者の生活の質や日常生活への影響を理解する上で重要ですが、客観的評価は認知機能の具体的な側面を測定するために用いられます。両者を組み合わせることで、より正確な認知機能の評価が可能です。
本記事は一般情報であり、個別の診断・治療を置き換えるものではありません。
精神保健指定医 児玉啓輔(監修者プロフィール)
患者さんへのメッセージ
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