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(新着論文)ADHDを持つ青年のスマホ過剰使用を減らす介入研究

原題: Reducing smartphone overuse for adolescents with attention-deficit hyperactive disorder: study protocol for a randomized controlled trial.
Yum YN, Li X, Poon KY, Leung CH / BMC psychiatry / 2025 / DOI / PubMed

抄訳:
スマートフォンの過剰使用は、生活の質や身体・精神の健康、学業・職業の達成に悪影響を及ぼします。注意欠陥多動性障害(ADHD)はスマートフォンの過剰使用のリスク要因として一貫して認識されていますが、ADHDを持つ人々を対象としたSO介入のランダム化比較試験(RCT)はこれまで行われていません。本研究は、香港でADHDとスマートフォンの過剰使用を持つ青年を対象に、スマホを用いた行動介入を開発・評価することを目的としています。120名のADHD青年を対象に、12週間の個別化行動介入を実施し、スマホ依存度やADHD症状、安静時脳波信号を測定します。介入効果は、自己報告によるスマホ依存度や客観的なスマホ使用量、ADHD症状の変化、および安静時脳波のスペクトルパワーの違いによって評価されます。この研究は、SO介入のエビデンスベースを強化し、ADHD症状とスマートフォンの過剰使用の因果関係を明らかにすることに貢献します。

PICO:

  • P(対象): ADHDを持つ青年
  • I(介入): スマホを用いた12週間の個別化行動介入
  • C(比較): スマホ使用の自己モニタリング
  • O(結果): スマホ依存度、ADHD症状、安静時脳波信号の変化

一言: 本研究は、ADHDを持つ青年のスマホ過剰使用を減らすための行動介入を評価するランダム化比較試験です。香港で120名の青年を対象に、12週間の個別化介入を実施し、スマホ依存度やADHD症状の変化を測定します。結果は、スマホ過剰使用とADHD症状の因果関係を明らかにする手がかりとなります。

エビデンスレベル: 8/10
評価理由: ランダム化比較試験(RCT)であり、介入の効果を客観的に評価する設計がなされています。サンプルサイズも適切で、結果の信頼性が高いと考えられます。

臨床メモ(活用点・注意点・外的妥当性・日本の臨床との整合)

本研究は、ADHDを持つ青年のスマホ過剰使用を減らすための新しい介入方法を提供します。スマホ依存度やADHD症状の改善が期待され、特にスマホの機能を活用した個別化介入が効果的である可能性があります。日本の臨床現場でも、ADHD患者のスマホ使用を管理するための参考になるでしょう。ただし、文化的背景やスマホ使用の習慣が異なるため、日本での適用には注意が必要です。介入の効果を長期的に維持するためのフォローアップも重要です。

(FAQ)

Q. この研究の目的は何ですか?
A. ADHDを持つ青年のスマホ過剰使用を減らすための行動介入を開発し、その効果を評価することです。

Q. どのような方法で介入が行われますか?
A. スマホを用いた12週間の個別化行動介入を実施し、週ごとにリマインダーを送ることで、スマホの依存性を軽減する戦略を実施します。

Q. この研究の結果はどのように役立ちますか?
A. スマホ過剰使用とADHD症状の因果関係を明らかにし、効果的な介入方法を提供することで、ADHD患者の生活の質向上に貢献します。


本記事は一般情報であり、個別の診断・治療を置き換えるものではありません。
精神保健指定医 児玉啓輔(監修者プロフィール

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参考リンク・関連資料