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(新着論文)選択的子宮全摘術における術前評価と痛み教育の効果

原題: Efficacy of preanesthetic assessment combined with pain neuroscience education in reducing anxiety, stress, and pain in elective hysterectomy: A randomized controlled trial protocol.

Morales-Osorio MA, Mejía-Mejía J, Calva Maldonado M, Pablo Yáñez JC, Ordoñez-Mora LT / Medwave / 2025 / DOI / PubMed

抄訳:

選択的腹部子宮全摘術は、術前の不安やストレスが高く、これが術後の痛みを悪化させることがあります。本研究は、標準的な術前評価に痛みの神経科学教育を追加することで、術前の不安やストレスを軽減し、術後の痛みを減少させるかどうかを検証するために行われます。この単一施設でのランダム化比較試験では、62人の成人女性患者を対象にします。参加者は、標準的な術前評価と痛みの神経科学教育を受ける介入群と、標準的な術前評価のみを受ける対照群に1:1の割合で無作為に割り当てられます。主要評価項目は、視覚的アナログスケール(VAS)での痛み、ベック不安インベントリー(BAI)での不安、知覚されたストレススケール(PSS)の総得点であり、術前、術後1時間、術後8時間の3つの時点で評価されます。副次的評価項目には、回復の質-15(QoR-15)スコアと救済鎮痛薬の必要性が含まれます。痛みの神経科学教育を標準的な術前評価に統合することで、不安やストレスを軽減し、術後の痛みの強度を減少させ、全体的な回復を改善すると予想されます。

PICO:

  • P(対象): 選択的腹部子宮全摘術を受ける成人女性患者
  • I(介入): 標準的な術前評価と痛みの神経科学教育
  • C(比較): 標準的な術前評価のみ
  • O(結果): 術前の不安とストレスの軽減、術後の痛みの減少

一言: 選択的子宮全摘術を受ける女性の術前不安やストレスを軽減し、術後の痛みを減少させるために、標準的な術前評価に痛みの神経科学教育を追加することの効果を検証するランダム化比較試験のプロトコルです。

エビデンスレベル: 7/10

評価理由: この研究はランダム化比較試験であり、信頼性の高いデザインです。しかし、単一施設での試験であるため、結果の一般化には注意が必要です。

臨床メモ(活用点・注意点・外的妥当性・日本の臨床との整合)

この研究は、選択的子宮全摘術を受ける患者に対する術前の不安やストレスを軽減し、術後の痛みを減少させるための新しいアプローチを提案しています。痛みの神経科学教育を標準的な術前評価に追加することで、患者の心理的な準備を整え、術後の回復を促進する可能性があります。日本の臨床現場でも、術前の患者教育の一環として痛みの神経科学教育を取り入れることで、患者のQOL向上に寄与する可能性があります。ただし、単一施設での試験であるため、他の施設や異なる患者集団での再現性を確認する必要があります。また、教育内容の標準化や実施方法の検討も必要です。日本の医療現場においては、文化的背景や患者の理解度に応じた教育方法の工夫が求められます。

よくある質問(FAQ)

Q. 痛みの神経科学教育とは何ですか?

A. 痛みの神経科学教育は、痛みのメカニズムや痛みの認識に関する知識を患者に提供する教育プログラムです。これにより、患者は痛みの理解を深め、不安やストレスを軽減することが期待されます。

Q. この研究の結果はどのように臨床に役立ちますか?

A. この研究は、術前評価に痛みの神経科学教育を追加することで、患者の不安やストレスを軽減し、術後の痛みを減少させる可能性を示しています。これにより、患者の回復が促進され、QOLが向上することが期待されます。

Q. この研究の限界は何ですか?

A. この研究は単一施設で行われたため、結果の一般化には限界があります。また、教育内容の標準化や実施方法の検討が必要であり、他の施設や異なる患者集団での再現性を確認する必要があります。


本記事は一般情報であり、個別の診断・治療を置き換えるものではありません。(監修者プロフィール

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参考リンク・関連資料