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（新着論文）リチウムの自殺予防効果に関する最新の系統的レビューとメタ分析
原題: The efficacy of lithium in the treatment of suicidal ideation, behavior and suicide: An updated systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials.
Wang JX, Le GH, Wong S, Teopiz KM, Kwan ATH, Rosenblat JD, Rhee TG, Ho R, Lo HKY, Goldberg JF, Vinberg M, Grande I, Mansur R, Meyer JM, McIntyre RS / Journal of affective disorders / 2025 / DOI / PubMed
抄訳:
リチウムは双極性障害、特にBD-Iの治療において第一選択薬とされています。急性躁病の治療や再発予防に加え、自殺予防効果も報告されています。本研究では、リチウムの自殺念慮や自殺行動に対する効果をランダム化比較試験を用いて系統的にレビューし、メタ分析を行いました。CochraneプロトコルとPRISMAガイドラインに従い、2013年1月から2024年7月までのOVIDデータベース（Embase、MedLine、PsychINFO）を検索し、自殺念慮、試み、関連死亡率を報告した試験を対象としました。1793件の論文から15件の研究（プラセボ対照8件、オープンラベル7件）が適格基準を満たしました。リチウムは自殺試行（オッズ比0.73）および完遂自殺（オッズ比0.61）の減少に関連しましたが、統計的有意性はありませんでした。方法論の制限が感度に影響を与え、小規模なサンプルサイズや診断の異質性、治療の忠実性の不足、低リチウムレベル、被験者間の自殺歴の違いが影響しました。統計的有意性の欠如はタイプIIエラーによる可能性がありますが、リチウムの自殺試行および完遂自殺への有益な効果は観察研究と一致しています。
PICO:
- P（対象）: 自殺念慮や行動を持つ患者
- I（介入）: リチウム治療
- C（比較）: プラセボまたは他の治療
- O（結果）: 自殺念慮、試行、完遂自殺の減少
一言: リチウムは双極性障害の治療において第一選択薬であり、自殺予防効果も示されています。本研究では、リチウムの自殺念慮や行動に対する効果をランダム化比較試験を用いて系統的にレビューし、メタ分析を行いました。
エビデンスレベル: 7/10
評価理由: リチウムの自殺予防効果は観察研究と一致しており、ランダム化試験でも一定の効果が示されていますが、統計的有意性は確認されていません。サンプルサイズや方法論の制限が影響しています。
臨床メモ（活用点・注意点・外的妥当性・日本の臨床との整合）
リチウムは双極性障害の治療において重要な役割を果たしており、自殺予防効果も期待されています。本研究では、リチウムが自殺念慮や行動の減少に寄与する可能性が示唆されましたが、統計的有意性は確認されていません。これは、サンプルサイズの小ささや診断の異質性、治療の忠実性の不足など、方法論的な制限が影響している可能性があります。日本の臨床現場においても、リチウムは自殺予防のための治療選択肢として考慮されるべきですが、個々の患者の状況に応じた慎重な評価が必要です。また、リチウムの血中濃度の管理や副作用のモニタリングも重要です。リチウムの使用にあたっては、患者の自殺リスクを総合的に評価し、他の治療法と組み合わせることが推奨されます。特に、リチウムの効果を最大限に引き出すためには、適切な治療計画とフォローアップが不可欠です。
よくある質問（FAQ）
Q. リチウムはどのように自殺予防に役立つのですか？
A. リチウムは双極性障害の治療において、急性躁病の管理や再発予防に効果的であると同時に、自殺念慮や自殺行動の減少にも寄与することが示されています。ただし、統計的有意性は確認されていないため、他の治療法と併用することが推奨されます。
Q. リチウム治療の際に注意すべき点は何ですか？
A. リチウム治療では、血中濃度の管理や副作用のモニタリングが重要です。また、患者の自殺リスクを総合的に評価し、個々の状況に応じた治療計画を立てることが必要です。適切なフォローアップも欠かせません。
本記事は一般情報であり、個別の診断・治療を置き換えるものではありません。（監修者プロフィール）
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