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(新着論文)看護学生の抑うつ症状の有病率と関連要因に関する研究

原題: College nursing students’ prevalence of depressive symptoms and associated factors: A cross-sectional study.
Alreshidi SM / Medicine / 2025 / DOI / PubMed

抄訳:
看護学生は学習過程で多くのストレスを経験し、これが身体的および精神的健康に影響を及ぼし、学業成績にも影響を与える可能性があります。しかし、サウジアラビアの大学に在籍する学生における抑うつ要因に関する研究は限られています。本研究は、リヤドにある看護大学の198名の学生を対象に、横断的記述研究を実施しました。調査にはピッツバーグ睡眠質指数と抑うつ・不安・ストレス尺度-21を使用しました。結果、学生の50.5%が抑うつ症状を示し、学習状況、ストレス、不安がこれらの症状と強く関連していることが明らかになりました(r = -0.211, P = .003; r = 0.838, P < .001; r = 0.762, P < .001)。ストレスと不安は抑うつ症状を予測する重要な要因であり、解釈力は70.2%でした。これらの心理的側面は、学生が学習支援を求める傾向に影響を与える可能性があり、教育者は学生の精神的健康を支援するための戦略を構築する必要があります。

PECO:

  • P(対象): サウジアラビアの看護大学に在籍する学生198名
  • E(暴露): 強いストレス、不安、睡眠の質の悪さ
  • C(比較): ストレス・不安が比較的少なく、睡眠の質も良い看護学生
  • O(結果): うつ症状の有無や強さ

一言: 本研究は、サウジアラビアの看護学生における抑うつ症状の有病率と関連要因を調査しました。198名の学生を対象に調査を行い、抑うつ症状の有病率は50.5%であることが判明しました。特に学習状況、ストレス、そして不安が抑うつ症状と強く関連していることが示されました。これらの心理的要因は、学生が学習支援を求める傾向に影響を与える可能性があり、教育者は学生の精神的健康を支援するための戦略を構築する必要があります。

確かさ(GRADE): 低い

理由: 本研究は横断的研究であり、因果関係を明確にすることができません。また、サンプルサイズが限られており、結果の一般化には注意が必要です。

研究の信頼性(ROBINS-I(非ランダム化研究)): やや懸念

  • 交絡: やや懸念
  • 参加者の選び方: 低い(大きな問題なし)
  • 介入の分類: 低い(大きな問題なし)
  • 予定した介入からのずれ: 低い(大きな問題なし)
  • 欠測(全般): やや懸念
  • アウトカム測定: やや懸念
  • 報告された結果の選び方: やや懸念

解説: この研究は観察研究であり、因果関係を証明するものではありません。データの欠損や報告バイアスの可能性があるため、結果の解釈には注意が必要です。

臨床メモ(活用点・注意点・外的妥当性・日本の臨床との整合)

本研究は、看護学生における抑うつ症状の有病率とその関連要因を明らかにすることを目的としています。結果は、学習状況、ストレス、不安が抑うつ症状と強く関連していることを示しています。これらの要因は、学生が学習支援を求める傾向に影響を与える可能性があり、教育者は学生の精神的健康を支援するための戦略を構築する必要があります。日本の臨床現場でも、看護学生の精神的健康を支援するための取り組みが重要です。特に、ストレス管理やメンタルヘルスサポートの提供が求められます。教育機関は、学生が安心して相談できる環境を整えることが重要です。また、学生自身も自己管理能力を高め、必要に応じて専門家の支援を受けることが推奨されます。

(FAQ)

Q. 看護学生がストレスを感じる原因は何ですか?
A. 看護学生がストレスを感じる原因は、学業の負担、臨床実習での経験、将来のキャリアに対する不安などが挙げられます。これらは、看護教育の特性上避けられない部分もありますが、適切なサポートとストレス管理が重要です。日本看護協会などのガイドラインでは、メンタルヘルスのサポートが推奨されています。

Q. 抑うつ症状を持つ学生はどのようにサポートされるべきですか?
A. 抑うつ症状を持つ学生は、心理的サポートやカウンセリングを受けることが推奨されます。教育機関は、学生が安心して相談できる環境を整えることが重要です。日本精神神経学会のガイドラインでは、早期の介入と継続的なサポートが重要とされています。症状が重い場合は、専門医の診察を受けることが必要です。


本記事は一般情報であり、個別の診断・治療を置き換えるものではありません。
精神保健指定医 児玉啓輔(監修者プロフィール

患者さんへのメッセージ

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参考リンク・関連資料