休職・復職支援
当院は、休職中の診察から、復職に向けた医学的な意見(診断書・主治医意見書)の作成、産業医・会社との連携、復職後のフォローまでを、精神保健指定医・日本専門医機構認定 精神科専門医である院長が主治医として一貫して支援する予定です。診療はできるだけ単剤を基本とし、ご希望や状態に応じて公認心理師による心理的支援(カウンセリング・認知行動療法)を組み合わせる予定です(当院は2027年4月開院予定です)。
仕事上のストレスや心身の不調によって休職を選ぶことは、健康を守るための大切な一歩です。「休んでよいのだろうか」「いつ戻れるのか」「会社にどう伝えればよいのか」と、不安を抱えながら受診される方は少なくありません。回復のペースは一人ひとり異なります。焦らず段階を踏みながら、無理のない社会復帰を一緒に考えていきましょう。
休職は回復のための選択肢のひとつです
うつ病・適応障害・不安症などで体調を崩したとき、休職して治療に専念することは、回復への近道になることがあります。十分に休めないまま無理を重ねると、かえって回復が長引くことがあるとされています。当院は、つらい状態を長引かせず、その人らしい働き方に戻れるよう、回復を丁寧に支えることを大切にしています。
当院の復職支援の特徴
- 精神保健指定医・日本専門医機構認定 精神科専門医が、主治医として継続的に対応します。
- ガイドラインや最新の研究を踏まえ、できるだけ少ない種類の薬で必要十分な治療を目指します。
- SDM(共同意思決定)を重視し、治療方針をご本人と一緒に決めていきます。
- 公認心理師による心理的支援(カウンセリング・認知行動療法)を組み合わせることができます。
- 不注意や段取りの難しさなど、背景に成人ADHDがある場合の診断・治療にも対応します。
休職・復職には、診断書の作成、会社との調整、復職の見きわめなど、いくつかの段階があります。当院では、これらの段階を主治医として継続的に支え、患者さんが見通しを持って治療に取り組めるようサポートしていく予定です。
休職中のサポート
休職期間中は、医師による定期的な診察を行いながら、症状の経過に合わせて治療計画を見直していきます。具体的には、次のような支援を組み合わせて進めます。
- 診察と治療の調整 — 症状の変化を確認し、必要に応じて薬物療法や生活面の助言を行います。当院の方針として、できるだけ単剤で必要十分な治療を目指します。
- 生活リズムの立て直し — 睡眠・起床・食事・活動のリズムを少しずつ整えることは、復職に向けた土台になります。
- ストレスとの付き合い方 — 不調につながった要因を振り返り、考え方や行動の工夫を一緒に整理していきます。ご希望や状態に応じて、公認心理師によるカウンセリングを組み合わせることもできます(内容・費用は心理検査・カウンセリングのページでご案内します)。
休職中は「何もしてはいけない」わけではありません。回復の段階に合わせて、できることを少しずつ広げていくことが大切です。うつ・適応障害の治療についてもあわせてご覧ください。
復職に向けた支援(診断書・主治医意見書・復職判定)
体調が回復してきたら、復職に向けた準備を進めます。当院は、患者さんの主治医として、医学的な視点から復職の見きわめと必要な書類の作成を担う予定です。
- 診断書 — 休職の開始や延長、復職の可否などを判断する際に、会社へ提出する書類です。患者さんの同意を得たうえで作成します。
- 主治医の意見書(診療情報の提供書) — 復職にあたり、どのような業務上の配慮があると望ましいかなどを、医学的な立場から記載するものです。会社の産業医や人事担当者が判断する際の材料になります。
- 復職判定への協力 — 復職できるかどうかの最終的な判断は、主治医の意見も踏まえたうえで、会社が行います。当院は、症状の安定や生活リズムの回復状況などをもとに、医学的な見地から意見をお伝えします。
復職の判断では、症状が落ち着いていることに加え、決まった時間に起きて活動できるか、通勤に相当する移動に耐えられるかなど、生活面の回復も重要な目安になるとされています。
治療と仕事の両立支援 — 主治医・会社・産業医の連携の流れ
厚生労働省は、病気を抱えながら働く方が治療と仕事を両立できるよう、関係者が連携して支援する仕組みを示しています。精神疾患による休職・復職の場面でも、この考え方が役立ちます。一般的な流れは次のとおりです(厚生労働省『治療と就業の両立支援指針』〔令和8年厚生労働省告示第28号〕などに基づきます)。
- (1) ご本人から会社への申出 — 治療と仕事の両立について、ご本人が会社へ相談・申出を行うところから始まります。本人の申出が出発点であり、本人の同意なく情報がやり取りされることはありません。
- (2) 会社から主治医へ「勤務情報を提供する書面」 — 会社が、仕事の内容や勤務時間などの情報を主治医に伝えます。
- (3) 主治医から会社へ「主治医意見書」 — その情報をもとに、当院の主治医が、就業上どのような配慮が望ましいかについて医学的な意見を返します。
- (4) 会社内での検討(産業医の意見など) — 会社は、主治医の意見と産業医の意見を踏まえて、就業を続けられるか、どのような配慮を行うかを検討します。
- (5) 就業継続の可否・職場復帰支援プランの作成 — 検討の結果に基づき、復職の時期や働き方を段階的に決める「職場復帰支援プラン」などが作られます。
このプロセスでは、企業と医療機関の橋渡し役として両立支援コーディネーターが関わることがあります。また、各都道府県の産業保健総合支援センター(さんぽセンター)では、事業者や働く方からの相談を受け付けています。職場によっては、本格的な復職の前に短時間勤務などで体を慣らす「試し出勤(リハビリ出勤)」の制度が設けられている場合もあります。
当院は、この流れの中で主治医の立場から医学的な意見を提供する役割を担う予定です。会社や産業医とのやり取りは、必ず患者さんの同意を得たうえで進めます。仕事のストレスとの向き合い方については職場のストレス・適応障害についてもご参照ください。
産業医・会社との連携
復職をスムーズに進めるためには、主治医・産業医・会社(人事や上司)が、それぞれの役割を理解して連携することが重要とされています。
- 主治医(当院) — 病状や治療経過をもとに、医学的な視点から復職の可否や望ましい配慮について意見を述べます。
- 産業医 — 職場の状況を踏まえ、その会社で安全に働けるかという観点から会社に助言します。
- 会社 — 主治医・産業医の意見を踏まえ、就業上の措置や配慮を決定します。
当院では、患者さんの同意のもとで、診療情報の提供書などを通じて産業医・会社と必要な情報を共有する予定です。一方で、復職を急ぎすぎることが再発につながる場合もあるため、医学的な立場からは、無理のないペースをお勧めすることもあります。リスクや懸念点も率直にお伝えしながら、患者さんと一緒に方針を考えていきます。
利用できる制度(傷病手当金・自立支援医療など)
休職中の生活や通院の負担をやわらげるために、公的な制度を利用できる場合があります。代表的なものとして、休職中の収入を一定期間補う傷病手当金や、通院・薬の自己負担を軽くする自立支援医療(精神通院医療)などがあります。
これらの制度には、対象となる条件や申請の手続きがあります。当院でも、必要な診断書の作成などを通じてご利用を支援する予定です。制度の概要や利用の流れなど詳しい手続きについては、働く人を支える制度のページでご案内しています。
リワークプログラム・ショートケアについて
復職に向けたリハビリテーションとして、決まった時間に通所し、集団でのプログラムや作業を通じて生活リズムや集中力の回復を図るリワークプログラムやショートケアといった支援があります。段階的に職場復帰を目指すうえで有用とされる支援です。
当院では、これらの院内プログラムの導入を将来的に検討していますが、リワークプログラム・ショートケアの提供時期は未定です。開院当初から提供できるものではない点をあらかじめご了承ください。提供の予定が決まりましたら、あらためてお知らせいたします。それまでの間も、診察・心理的支援・書類作成などを通じて、復職に向けた支援を行ってまいります。
復職後のフォロー
復職はゴールではなく、新しいスタートです。職場に戻った直後は、緊張や疲れから体調が揺らぎやすい時期でもあります。当院では、復職後も定期的に診察を行い、心身の状態や職場への適応の様子を確認していく予定です。
- 体調の変化を早めに把握し、再発の兆しに気づけるよう見守ります。
- 必要に応じて、勤務時間や業務量の調整について、産業医や会社との連携を継続します。
- 再発予防のための考え方・行動の工夫を、心理的支援とあわせて続けていきます。
復職後も無理のないペースで働き続けられるよう、長期的な視点でフォローしていくことを大切にしています。なお、不注意や段取りの難しさなど発達特性が背景にある場合の支援については成人ADHD(注意欠如・多動症)についてもご覧ください(※支援内容は症状や職場の状況により異なり、詳細は診察のうえで決定します)。
よくある質問
初診でも休職のための診断書はもらえますか
診察で休養が必要と医師が判断した場合は、初診でも休職に必要な診断書を作成できます。一方で、症状や経過の確認が必要なときは、無理のない範囲で改めてご相談しながら判断することもあります。診断書はご本人の同意を得たうえで作成し、記載する休職期間は状態に応じて医師が一人ひとり判断します。まずは今のおつらさを遠慮なくお話しください。
復職は症状が完全に治ってからでないと難しいですか
症状がすべてなくなるまで待つ必要はなく、生活リズムが整い、通勤に相当する活動に耐えられるかどうかも大切な目安とされています。回復の様子は、生活記録や段階的に活動量を増やす取り組みを通じて一緒に確認していきます。一方で、復職を急ぎすぎると再発につながることもあるため、段階的に進めることを大切にしています。最終的な復職の可否は会社が判断しますが、当院は主治医として医学的な見地から意見をお伝えし、タイミングを一緒に考えていきます。
傷病手当金はどのくらいの期間もらえますか
傷病手当金は、健康保険に加入している方ご本人が病気やけがで働けないときに、要件を満たした場合に同じ病気について通算1年6か月まで支給される制度です。会社を休んだ日が連続して3日間続いたあと、4日目以降の働けない日が対象になります。支給されるかどうかや支給額、期間は加入する健康保険(保険者)が判断するため、詳しい手続きや要件は勤務先や保険者にもご確認ください。当院では、申請書のうち医師が記入する欄(療養の状況の証明)の作成を通じて、手続きをお手伝いしています。
今は別のクリニックに通っていますが、復職の書類だけお願いできますか
復職に関する診断書や主治医意見書は、患者さんの状態を継続して診ている主治医が作成するのが原則です。そのため、書類だけを単独で発行することは難しい場合があります。当院への通院をご希望の場合は、これまでの治療経過を踏まえながら主治医として支援していきますので、まずは一度ご相談ください。転院のご判断もふくめ、一緒に考えていきます。
参考文献
- 厚生労働省「治療と就業の両立支援指針」(令和8年厚生労働省告示第28号・2026年2月10日公表)
- 厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」(令和6年3月版/現在は上記指針に統合されつつあります)
- 厚生労働省「治療と仕事の両立支援ナビ(ポータルサイト)」 https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/
本ページの内容は、上記の公的資料に基づき、当院院長(日本専門医機構認定 精神科専門医・精神保健指定医)の監修のもと作成しています。記載は一般的な情報であり、個々の支援内容は症状や職場の状況によって異なります。詳しくは診察のうえご相談ください。